
起業したばかりの頃、私には仕事がなかった。
明日の見通しが立たない日々。
毎月月末は通帳の残高とにらめっこ。
そういう日々を続けていた。
仕事は少しずつ広げるものでまだ来てないだけだ。
そう思っていた。
そんなとき知人から一本の誘いがあった。
中村文昭さんという人の講演会があるから、行ってみないかと。
正直なところよく分からなかったけど藁にもすがる思いだったのだろうか。
その当時、講演会料も格安だった。
断る理由も特になかった。
だから行った。
今になって思えば、この「とりあえず行った」が私の人生を変えるきっかけとなる。
4つの鉄板ルールに心を撃ち抜かれた
中村文昭は三重県の山奥に生まれ高校を出て家出同然で上京した人だ。
焼き鳥屋でたまたま出会った事業家に弟子入りし野菜の行商から商売を始めた。
その師匠から授かったのが4つの鉄板ルール。
返事は0.2秒。
頼まれごとは試されごと。
できない理由を言わない。
今できることをやる。
たったこれだけ。
難しい理論はひとつもない。
その話を面白おかしくされた。
話に引き込まれた。
会場も笑い声の絶えないよくある退屈な講演会とは違い和やかなものだった。
みんな笑っていた。
それなのに私は会場で身動きが取れなくなった。
たぶん泣いていたと思う。
それは、4つの鉄板ルールのどれも当時の私ができていないことばかりだった。
仕事の依頼が来ても損か得かを一瞬で計算してから返事をしていた。
頼まれごとを損得勘定で選んでいた。
できない理由ならいくらでも口から出ていた。
そして「そのうちやる」と言いながら今日も牛歩の如くの歩みだった。
いつかうまくいくはず。
そう思っていた。
仕事がなかったのではない。
仕事が来ないような自分だった。
帰り道、私は会場で売っていた一冊の本を買った。
「お金でなく、人のご縁ででっかく生きろ」。
金持ち人生より人持ち人生のほうが数倍おもしろい。
そう書かれた本。
家に帰って一気に読んだ。

そして、決めた。
明日からこの4つのルールをやってみようと。
返事を速くした。
メールも電話も内容を吟味する前に、まず「はい、やります」と返す。
できるかどうかは返事をしてから考える。
すると不思議なもので相手の反応が明らかに変わった。
次に、頼まれごとを試されごとだと思うようにした。
本業の仕事とは関係のない小さな雑用も引き受けた。
パソコンの困りごと。
イベントの裏方。
正直、お金にならないものばかり。
でも、相手の予想を少しだけ上回ろうと思った。
どれだけできているかは分からない。
でも全力を尽くした。
少しずつその雑用を頼んでくれた人が別の人に私を紹介してくれるようになった。
点だったご縁が線になった。
気がつけば私は食べていけるようになっていた。
広告を打ったわけではない。
営業トークを覚えたわけでもない。
ただ、目の前の人を喜ばせることを続けただけ。
仕事は人が運んできてくれた。
このことが後になって私の仕事観の土台になった。
実は「正しい」やり方だったということ
ここからは中村文昭を師匠と呼ばせてもらいます。
ただ師匠に教わったとおり、目の前のご縁を大切にしていただけ。
ところが後になってマーケティングを学ぶと、私がやっていたことにはちゃんと名前がついていたのです。
リレーションシップマーケティングという考え方。
新規のお客様を追いかけるのではなく、既存のお客様との信頼を深め、長いお付き合いの中で価値を生んでいく手法。
1980年代、アメリカで価格競争に疲れた企業に対してある学者がこう指摘しました。
お客様一人ひとりとの感情的な絆こそが収益の安定源になる。
機能や価格で殴り合うのではなく関係性で勝負しなさい。
これはまさに、師匠が行商の軽トラックの上ですでに実践していたことでした。
私は理論を学ぶずっと前に生き方として先に教わっていたのです。
もうひとつNPSという指標があります。
「この会社を、親しい友人にどれくらいすすめたいですか」と尋ねてお客様の本心を測るものです。
面白いのは、これが「満足しましたか」よりも一段重い質問だという点です。
人に紹介するという行為には自分の信用がかかります。
いい加減なものを紹介すれば、紹介した自分の評価も下がるからです。
だからこそ、人は本当に良いと思ったものしか人にはすすめません。
私の仕事を誰かが誰かに紹介してくれたとき、その人は自分の信用を私に賭けてくれていたわけです。
ご縁を紡ぐとは、突き詰めればこの覚悟を相手に持ってもらえる仕事をすること。
そう考えると、4つの鉄板ルールがなぜ仕事につながったのかが腑に落ちます。
気をつけたいこともあります。
ご縁を、お客様を囲い込むための道具だと考えた瞬間にそれは台無しになります。
信頼を築くのには長い時間がかかりますが崩れるのは一瞬です。
「この人なら押せば契約してくれる」という下心は必ず相手に伝わります。
順番を間違えてはいけません。
人を喜ばせることが先で利益は結果としてついてくる。
この順番だけは師匠から教わったとおり今も守り続けています。
そしてご縁紡ぎ大学の門を叩いた
食べていけるようになってしばらく時が経ちました。
そんなある日
同級生に「明日講演会があるから来ない?」と誘われました。
名前を聞くと中村文昭。
行かない理由はありませんでした。
そこで私は師匠と初めて一緒に撮ります。
初めて講演会に行った時は恐れ多くてそんなことを考えもしなかった小さな自分を思い出します。
少しは近づけたかなと思って写真をお願いした。(画像はその時に写真をチャッピーにちょっとイジってもらったもの)
そして私は師匠と初めて一緒に撮った写真を投稿したことから中村文昭師匠が校長を務める「ご縁紡ぎ大学」の存在を知ります。
半年間かけて、さまざまな講師から人生を豊かに生きるヒントを学び、人間力を磨く学校。
迷いはありません。
即入学。
4つの鉄板ルールに救われた私が、その先にある学びの場を素通りできるはずがなかったから。
ご縁紡ぎ大学で得るものは知識だけではありません。
いちばん大きかったのは自分らしく生きていこうとする人たちとの出会い。
年齢も職業もばらばら。
それぞれが自分の軸を持って生きようともがいていました。
その姿を間近で見ているうちに、私は私自身ともう一度向き合います。
自分は何のために働いているのか。
誰を喜ばせたいのか。
仕事で食べていけるようになった私が、次に問われたようでした。
ご縁という点を、点で終わらせない。
点を線にし、線を面にしていく。
師匠、中村文昭の言葉。
講演会で4つの鉄板ルールに出会ったのが最初の点。
それを実践して仕事につながったのが線。
そしてご縁紡ぎ大学で多くの仲間と出会ったことで私のご縁は面になりました。
そこで私はもう一段、自分を高められた気がします。
生き方に悩むすべての人へ
4つの鉄板ルールは、仕事だけのものではありません。
返事を速くする。
頼まれごとを前向きに引き受ける。
できない理由を探さない。
今できることから始める。
これは、人と人とが関わるあらゆる場面に効く生き方そのものです。
もしあなたが今、仕事や人生に行き詰まっているならひとつだけ思い出してほしい。
状況を変えるのは大きな決断ではない。
目の前の人からの小さな頼まれごとに秒で「はい」と答える。
ただそれだけのことが点を生みます。
その点はいつか線になり面になります。
かつての私がそうだったように。
人と人の繋がりでしか本当に良い仕事は生まれません。
そして人と人の繋がりでしか本当に良い人生も生まれないのだと思っています。
お金でなく、人のご縁ででっかく生きていく。
師匠から受け取ったこの言葉をあなたへ渡します。
あなたのご縁がどうか良い面を描いていきますように。

株式会社ガイネット代表取締役 趣味は神社仏閣巡り 初めてホームページを作ったのは20年以上前。そこから2社ほどで修行し33歳でフリーランスに、色々あって今さら法人設立。WEBとデザインの何でも屋であり書家でありYouTuberです。