
誰でもAIで、それなりに整ったデザインが作れる時代になりました。
ロゴも、バナーも、Webサイトも、指示を出せば数十秒で形になります。
ところが、出てきたものをよく見ると「なんだか、どこかで見たことがある」「綺麗なのに、なぜか安っぽい」と感じることが少なくありません。
これは私の感覚の話ではなく、いま世界中のデザイナーやエンジニアが同じことを言い始めています。
AIが生成したデザインには、共通した「クセ」があります。
そのクセは、見る人が見れば一発で「ああ、これはAIで作ったな」と分かってしまうほどはっきりしたものです。
今回は、AIにデザインを任せたときに陥りがちな落とし穴を7つにまとめてみました。
ミス1:グラデーションを、つい使ってしまう
AIにデザインを頼んだとき、最も高い確率で出てくるのがグラデーションです。
ヒーロー画像の背景、ボタン、見出しのアクセント。
とにかく、あらゆる場所に現れます。
なぜこうなるのかというと、AIが世の中の無数のWebサイトを学習した結果、グラデーションを「最も無難で安全な選択」だと判断しているからです。
確かに、悪くはありません。
でも、あまりに多くのサイトで使われすぎてもはや「AIで作りました」という看板のような状態になっています。
配色は、ブランドの第一印象を決める大切な要素です。
その入り口を「みんなと同じ無難な色」で済ませてしまうと、お店や会社の個性は、最初の一歩で消えてしまいます。
ミス2:フォントが、いつも同じになってしまう
配色と並んで分かりやすいのが、フォントです。
AIに任せると、判で押したように同じ書体ばかりが選ばれます。
海外では、あまりに多用されすぎて「AIのComic Sans」と揶揄されるフォントまで出てきました。
フォントというのは、実はデザインの質を瞬時に物語る要素です。
誰もが使う無難な書体を、何の工夫もなく置いただけのデザインは、見る人に「タイポグラフィに何も考えていないな」と無意識に伝えてしまいます。
逆に言えば、フォントを一つ意図して選ぶだけで、デザインの印象は大きく変わります。
そこを「AIにおまかせ」にしてしまうと、せっかくの個性を出すチャンスを、自分から手放すことになります。
ミス3:レイアウトが、テンプレートそのものになる
AIが作るWebサイトは、構成までそっくりになりがちです。
大きなキャッチコピーのヒーロー、アイコン付きの3つの特徴カード、お客様の声、料金表、フッター。
業種が違っても、判で押したように同じ流れが出てきます。
恐ろしいのは、プロンプトをいくら変えても、似たような配置しか出てこないことです。
色を変えただけ、文言を入れ替えただけの、骨格は同じデザインが量産されていきます。
その結果どうなるか。
あるIT企業のトップページが、まったく別の業種の会社のサイトと、何も変えずに入れ替えても成立してしまう。
そんな「誰の会社でもないデザイン」が出来上がります。
自社サイトが他社と見分けがつかない状態は、ブランドにとって致命的です。
ミス4:装飾を、意味なく盛りすぎる
AIは「これを使うと今風に見える」というパターンを覚えているため、装飾を過剰に乗せてくる傾向があります。
すりガラスのように透けたカード、ぼんやり光る影、丸く浮かぶオーブ、意味のないアニメーション。
一つひとつは悪くないのですが、全部を一度に盛り込むと、ごちゃごちゃした印象になります。
特に分かりやすいのが、カードの片側だけに付いた太い色付きの線です。
これは、AI生成デザインの最も有名な「しるし」のひとつとして知られています。
装飾は、目的があって初めて生きるものです。
「なんとなく格好いいから」で乗せた飾りは、情報を伝える邪魔にしかなりません。
AIは、その「目的があるかどうか」の判断が、まだ苦手なのです。
ミス5:カードの中にカード、入れ子になりすぎる
これは少し専門的な話になりますが、AIはとにかく、あらゆる要素を四角い枠で囲もうとします。
枠の中にまた枠、その中にさらに枠。
三重、四重に入れ子になった構造が、平気で出てきます。
なぜこうなるかというと、AIは「枠で囲む」というパターンをよく知っている一方で、「情報に優先順位をつける」という設計が苦手だからです。
本当は、余白や文字の大きさで差をつければ済む話を、すべて枠で囲うことで解決しようとしてしまいます。
その結果、画面は枠だらけになり、どこを見ればいいのか分からなくなります。
見やすさのために付けたはずの枠が、かえって視線を迷わせてしまうのです。
ミス6:パソコンでは綺麗、でもスマホで崩れる
ここからは、見た目の「あるある」だけでは済まない、実害の話です。
AIが作ったサイトは、パソコンの画面では完璧に見えることがよくあります。
ところが、スマートフォンで開いた瞬間に崩れる、という落とし穴があります。
文字が画面からはみ出す。
ボタンが押せない位置にある。
レイアウトが大きく乱れる。
こうした不具合が、確認を怠ったまま公開されてしまうケースが報告されています。
いまや、Webサイトを見る人の多くはスマートフォンです。
スマホで崩れているサイトは、検索順位の面でも不利になりますし、何より見た人がすぐに離れてしまいます。
「パソコンで綺麗だから大丈夫」という思い込みが、いちばん危険です。
ミス7:著作権や中身のチェックが、すっぽり抜ける
最後は、見た目とは違う、もっと根の深い落とし穴です。
AIが生成した画像が、既存の作品やキャラクターによく似ていて、後からトラブルになる。
そんな事例が、実際に起きています。
また、AIで作ったデザインは、そもそも著作権が発生しなかったり、ツールの提供元に権利が帰属したりする可能性もあります。
「自分が作ったもの」のつもりが、商用で自由に使えなかった、ということも起こりえます。
サイトに入力フォームなどを付けた場合、AIが書いたコードにセキュリティ上の穴が残っていることもあります。
見た目が整っていても、中身の安全性までは保証されていません。
公開する前に、人の目で中身を確認する工程は、どうしても省けないのです。
落とし穴を避ける鍵は「制約」と「人の目」
ここまで7つの落とし穴を見てきました。
こうして並べると、AIが悪いのではない、ということが見えてきます。
AIは、何の指示もなければ「世の中の平均値」を出すように出来ています。
だから、何も考えずに任せると、平均的で無難な、そして他社と見分けのつかないものが出てくるのです。
海外のデザイナーの間では、面白い合言葉が広まっています。
「制約が、創造性を生む」という考え方です。
グラデーションは使わない、ありふれたフォントは避ける、枠で囲みすぎない。
そうやって「やってはいけないこと」をあらかじめAIに伝えると、AIは別の選択をするようになります。
禁止することが、かえって個性を引き出すのです。
そして、もうひとつ欠かせないのが、人の目です。
スマホでの崩れ、著作権の確認、中身の安全性。
これらは、最終的に人がチェックしなければ防げません。
よく言われるのが「生成が3割、人の手による確認と調整で残りの7割」という工数の感覚です。
AIに任せれば終わり、ではないのです。
私は、AIをデザインの道具として使うこと自体は、とても前向きに捉えています。
大切なのは、AIの「クセ」を理解した上で、人間が舵を取ることです。
どこを任せて、どこを譲らないか。
その線引きができる人の手にかかったとき、AIは平均値を超える力になってくれます。
旭川と札幌でWeb制作をしている私たちも、AIと人の手をどう組み合わせるかを、日々考えながら形にしています。
「AIで作ってみたけれど、なんだか物足りない」
そう感じたときは、どこに落とし穴があったのか、一度ご相談いただければと思います。

株式会社ガイネット代表取締役 趣味は神社仏閣巡り 初めてホームページを作ったのは20年以上前。そこから2社ほどで修行し33歳でフリーランスに、色々あって今さら法人設立。WEBとデザインの何でも屋であり書家でありYouTuberです。