
AIを使えば文章も画像も動画も短い時間で形になります。
もちろん私も仕事で使っています。
便利ですし、今では使わない理由を探すほうが難しいかもしれません。
ただ最近は会社のホームページやSNSを見ていて気になることがあります。
きれいに整っているのに会社の姿が見えてこないのです。
AIが悪いわけではありません。
問題はAIに何を作らせるかではなく、何を材料として渡すかにある気がします。
会社名を変えても成立してしまう
ホームページを見ていると似た言葉によく出会います。
「お客様に寄り添います」
「高品質なサービスを提供します」
「地域社会に貢献します」
どれも立派な言葉です。
間違ってもいません。
ただ会社名を変えても通じてしまいます。
それでは、その会社を選ぶ理由にはなりにくいでしょう。
先日もある会社のホームページを見ました。
文章も写真も整っています。
内容もしっかりしています。
ところがページを閉じたあと、その会社がどんな会社だったのか思い出せませんでした。
悪いホームページではありません。
むしろよくできています。
だからこそ少し不思議でした。
きれいに整えるほど個性が薄くなることもあるのだと思います。
雑談に出てくる言葉
会社の話を聞いていると予定していなかった言葉が印象に残ることがあります。
「そこまでやらなくていいと言われるんですけどね」
「昔のお客様との約束で今も続けています」
「効率は良くないけど、ここは変えたくないんです」
こういう話を聞くと仕事ぶりが見えてきます。
立派な経営理念よりも雑談で出たひと言のほうが会社を表していることもあります。
本人たちは特別だと思っていません。
毎日やっているので説明するほどのことではないと感じています。
でも外から見ると魅力に見えます。
急ぎの仕事でも確認を省かない。
新人が困っていたら部署に関係なく声をかける。
納品後もお客様の様子を気にする。
会社の中では普通の光景です。
お客様にとっては安心できる理由になります。
この差は意外と大きいものです。
AIは会社の日常を知らない
AIは文章を整えるのが得意です。
長い話を短くできますし、難しい言葉も分かりやすくできます。
採用ページや会社案内の下書きも作れます。
ただ、その会社で起きた出来事は知りません。
創業した頃の苦労。
最初のお客様に言われた言葉。
失敗した仕事から変えたルール。
社長が迷った末に守ったもの。
こうした話は会社の中にあります。
検索しても出てきません。
AIに「会社の魅力が伝わる文章を書いて」と頼めば、それらしい文章は出てきます。
読みやすく前向きで大きな間違いも少ないでしょう。
ただし、それは会社の文章ではなく会社紹介らしい文章になることがあります。
似ているようで少し違います。
その小さな違いが、発信を続けるほど目立ってきます。
最初に集めたいもの
AIを使う前に会社の魅力をきれいな言葉へまとめる必要はありません。
むしろ最初からまとめないほうがいい場合もあります。
最近あったお客様との会話。
社員が続けている小さな習慣。
面倒でもやめていない仕事。
社長が判断するときに気にしていること。
こうした話をそのまま集めます。
格好よくなくても構いません。
話が少し脱線していても大丈夫です。
その中に、その会社でしか出てこない材料があります。
ある会社で社員の方に話を聞いたとき「うちは返事だけは早いです」と言われたことがあります。
社長は特に強みだと思っていませんでした。
けれど、お客様からすれば大きな安心です。
すぐに解決できなくても返事が来る。
担当者が見てくれていると分かる。
それだけで仕事を頼みやすくなります。
強みという言葉を使うと立派なものを探してしまいます。
実際は日常の中にあることのほうが多いようです。
AIには整える仕事を頼む
材料が集まったらAIは頼れる相手になります。
長いインタビューを読みやすくする。
似た話をまとめる。
専門用語を伝わる表現へ変える。
話の順番を整える。
このあたりは得意です。
人が見つけたものを読み手に届く形へ変えてもらう。
そんな使い方なら会社らしさも残しやすくなります。
最初から全部を作らせると無難な文章になりがちです。
会社の中で起きたことを渡せば、そこに実感が加わります。
道具は同じでも出来上がるものは変わります。
料理に少し似ているかもしれません。
同じ包丁を使っても材料まで同じなら似た料理になります。
会社の発信も同じです。
面倒な話ほど残る
会社の魅力を探す作業は効率が良いとは言えません。
昔の話を聞くことがあります。
現場を見て回ることもあります。
社員の方に尋ねても「特にないですよ」と言われることがあります。
そこから話を続けていると急に面白い話が出てきます。
なぜ、そのやり方を続けているのか。
なぜ、他社が断る仕事を引き受けるのか。
なぜ、そこだけは機械に任せないのか。
理由を聞くと会社の考え方が見えてきます。
こういう話は最初から会社案内に書かれていません。
会議資料にも載っていないでしょう。
だから見つけるのに時間がかかります。
でも読んだ人の記憶に残るのは、こういう部分です。
作る技術より見つける力
文章も画像も、これからさらに簡単に作れるようになるでしょう。
見た目だけなら会社同士の差は小さくなります。
そこで大切になるのが自分たちの会社にしかないものを見つける力です。
新しい魅力を無理に作る必要はありません。
まだ言葉になっていないものを探します。
長く続けているのに誰も価値だと思っていないこと。
お客様は喜んでいるのに社内では普通になっていること。
昔から守っているのに理由を説明していないこと。
そうしたものを拾い上げて伝わる形へ変えていく。
AIはそのための道具として使えばいいのだと思います。
会社らしさまで作ってもらうと、どこかで見たような会社になってしまいます。
少しくらい不器用でも実際にあった話には力があります。
AIで作れるものが増えるほど会社の中を見る時間が大切になる。
最近はそんなことを考えています。

株式会社ガイネット代表取締役 趣味は神社仏閣巡り 初めてホームページを作ったのは20年以上前。そこから2社ほどで修行し33歳でフリーランスに、色々あって今さら法人設立。WEBとデザインの何でも屋であり書家でありYouTuberです。