AIが作ったホームページは誰も見ない。そしてAIがあなたの未来を奪うかもしれない

朝のウォーキングで、スマホを開いたら通知が止まらなかった。

Copilot 20260527

昨日の夜に投稿したスレッズのコメントに、知らない人たちからどんどん返信が届いている。

表示回数はあっという間に2万を超えていた。

何があったのか。

きっかけはひとつの投稿だった。

ある女性がスレッズに「AIでホームページを作った。Claudeで基本を作って、GPTと壁打ちしながら手動で調整。3時間くらいで完成。神すぎる。ぜひ見てほしい!感動する!!」と書いていた。

私はリンクを開いた。

そして正直な感想をひと言投稿した。

「見に行ったら何やってるかサッパリ分からないページで安心した。」

元の投稿者がコメントをロックしたため、行き場を失った人たちが私のコメントに集まってきたのだった。

「ポエムすぎて全部飛ばしたら下に着いたww」

「開幕からまじで意味不でおもろかった、すぐ閉じた」

「意識高い系ブログの方がまだ見やすい」

そういったコメントが次々と届いた。

朝のウォーキングは、そのままスマホと格闘する時間になった。

笑えるようで、笑えない話だと私は思った。

AIが作ったホームページ、本人だけが感動している問題

私はWeb制作を仕事にしている。

だからこそ、あのページを見たときに感じた違和感の正体がはっきりわかった。

デザインはされていた。

レイアウトもある。

見た目の体裁は整っていた。

でも、「誰に向けて、何を伝えるページなのか」がまったく見えなかった。

AIはデザインはしてくれる。

文章も書いてくれる。

構成も提案してくれる。

でも「あなたは何をしている人で、誰のどんな悩みを解決できるのか」という問いに答えるのは、AIではなく本人でなければならない。

その部分が空白のまま、AIに見た目だけ整えてもらったページが世の中に増えている。

スレッズのやりとりのなかで、的を得たコメントがあった。

「AIってデザインはしてくれるけど、その手前の要件定義はしてくれないんだなってことがよく分かりました!」

まさにそう。

私がコメントに返したのもそういう意味だった。

「AIは卒なく何でもできる道具として作業員としては優秀です。それに頼るとどうなるかのいい例です。」

ホームページは、作ることが目的ではない。

見た人に何かを感じさせ、行動させるものだ。

AIはその「感じさせる中身」は作れない。

中身を持っているのは、あくまで人間だけ。

その日の朝、もうひとつのニュースが飛び込んできた

ウォーキングを終えて家に戻ったころ、別のニュースが目に入った。

巨人の阿部慎之助監督が暴行容疑で現行犯逮捕され、翌日に辞任したというニュースだった。

驚いたのは内容だけではなかった。

事件の経緯に、またAIが出てきたのだ。

5月25日の夜、姉妹のけんかを止めようとした阿部監督が、言い返してきた長女(18歳)に手を出してしまった。

その直後、長女はChatGPTに相談した。

「どうすればいいかわからない」と入力したところ、AIは「児童相談所に連絡できる」と案内した。

長女はそのとおりに電話した。

児相が警察に連絡した。

警察が駆けつけ、阿部監督はその場で逮捕された。

翌日の辞任会見で読み上げられた長女からの手紙には、こう書かれていた。

「警察が来て驚いた。目の前で泣き崩れてしまった」と。

長女は父親を刑務所に送りたかったわけではない。

ただ、どうしたらいいか分からなくてスマホを開いた。

そしてAIに聞いた。

AIはマニュアル通りに答えた。

その先に何が起きるかを、長女はわかっていなかった。

79年ぶりとなるシーズン途中の巨人監督交代。

一人の監督のキャリアが終わり、家族の関係が変わってしまった。

AIが悪いとは言わない。

でも、AIは「この情報を伝えたらその人の人生がどう動くか」を考えない。

ただ正確に答えるだけ。

世の中の反応が、AIの浸透を教えてくれた

この事件を受けて、XではChatGPTがトレンド入りした。

「父と子の間に母親が入るところを、ChatGPTが代替する。現代すぎる」

「人間がAIに支配されるってこういう事なのか」

そういう声が広がった。

Yahoo!のリアルタイム検索ランキングには「AIに仕事を奪われる」という言葉が一時ランクインしたという。

仕事を奪われることへの不安と、家庭の相談相手になっているという現実が、同時に可視化された一日だった。

でも私が一番引っかかったのは、「AIに支配される」という表現だ。

AIは支配していない。

AIはただ、聞かれたことに答えているだけ。

問題は、聞いた人間の側に「この答えを使ったら何が起きるか」を考える力があったかどうか、ということだと思う。

子どもたちに、何を教えるのか

この事件は、AI教育の問題を鮮明に浮かび上がらせた。

18歳の若者が、困ったときにAIに相談する。

それ自体は責められない。

私たちの世代だってGoogleで検索してきたし、今はAIに聞く時代になった。

でも、Googleの検索結果は「情報」だった。

AIの回答は「提案」や「行動の指示」に近い。

そこには決定的な違いがある。

AIが「こうすればいい」と言ったとき、その答えをうのみにしてしまう人が増えている。

自分で考えず、AIの出力をそのまま行動に移す。

ホームページもそうだし、家庭のトラブルもそう。

「自分はどうしたいのか」「その先に何が起きるのか」を考える力を、AIは代わりに持ってくれない。

子どもたちに教えるべきは、AIの使い方ではなく、AIの答えを一度疑う習慣だと私は思う。

情報を得たあと、自分の頭でもう一度考えること。

その一手間が、人生を守ることに繋がる場面が、これからもっと増えてくるはずだ。

Gemini Generated Image 3b9g2z3b9g2z3b9g

最近のAIニュースが示す、もうひとつの現実

ここ最近のAI関連ニュースを追うと、生活への影響がいよいよ具体的になってきた。

OpenAIは5月7日から「Trusted Contact」という機能を提供開始した。

ChatGPTが会話の中で自傷リスクを感知した場合に、あらかじめ登録した信頼できる人に通知するという機能だ。

AIが感情的な危機に介入するための仕組みが、正式に作られ始めている。

詐欺の世界でも変化が起きている。

2026年はAIを使った詐欺が質的に変わる年とされており、セキュリティ会社の試算では成人の3人に1人が過去1年間に詐欺被害に遭っているという。

AIが人間のふりをして、自然な会話で騙してくる。

「なんか怪しい」という直感すら狂わせる精度に。

医療の現場でも、米国の調査では医師の94%がすでにAIを使っている、または関心を持っていると回答している。

病院でのAI活用は、患者である私たちにも関係してくる話だ。

そして雇用。

2030年までに9200万の仕事がAIに置き換えられる一方で、1億7000万の新しい仕事が生まれるという予測もある。

単純に「AIに仕事を奪われる」という話ではなく、仕事の中身が変わっていく時代。

それが現実だ。

AIとどう向き合うのか、という問いに答えはあるのか

正直に言います。私にも完全な答えはありません。

ただ、ひとつだけ確かなことがあります。

AIは道具です。

包丁と同じで、使い方次第で誰かの生活を豊かにもするし、誰かを傷つけることにもなります。

ホームページをAIで作ること自体は悪くありません。

でも「誰に何を伝えるか」を考えずに作ったページは、見る人に何も伝わりません。

困ったことをAIに相談すること自体も悪くありません。

でも「この答えを使ったらどうなるか」を考えずに動いてしまうのは危ういと思います。

AIを使う前に、自分の意志を持つこと。

AIを使った後に、自分の判断で動くこと。

その順番が大切だと私は考えています。

あなたはどうでしょうか。

日々の仕事や生活の中で、AIの答えをどこまで信頼し、どこで自分の頭を使っていますか。

AIが当たり前になったこの時代だからこそ、「自分で考えること」がいちばん失ってはいけない能力だと思っています。

page top