長友佑都の涙が教えてくれた、強い組織の本質|W杯メンバー発表から考える組織論

自分でするのはあまり得意なほうでありませんがスポーツ観戦が好きです。

特にサッカー代表戦とプロ野球はよく見ます。

さて、サッカー日本代表のメンバー発表がありました。今回はそんなお話。

北中米ワールドカップに臨む26名が発表。

負傷中の三笘薫選手が選外。

チャンピオンズリーグで躍動していた守田英正選手も選外。

その一方で、38歳の長友佑都選手が5度目のワールドカップ出場。

ネット上にはさっそく批判の声が溢れました。

守田のまさかの落選

「今回のサプライズは守田の落選か」

「守田は選ばれると思っていたが、前の発言を含めて反乱分子になり得ると踏んだのかな」

「守田はやっぱり、戦術批判めいた発言をしたことが原因なのだろうか」など

一方で「長友はもう限界だろう」

「なぜヨーロッパで活躍もしていない選手を選ぶ」

そんな声が聞こえてきます。

みなさん監督気取り笑

森保監督はその記者会見で、長友選手の選出理由についてこう語っています。

「彼は5大会連続W杯に出場するということで、過去4大会の成果も課題も全て知っている。コミュニケーションの部分でもチーム全体に貢献してもらえる。局面局面での戦いはW杯基準を持っているということで選ばせてもらった」と。

その発表の瞬間、長友選手本人の映像も大きな話題に。

C東京のクラブハウスで中継を真剣な眼差しで見つめていた長友選手は、自分の名前が呼ばれても微動だにせず、そのまま画面を見つめ続けました。

そして27歳の田中碧選手の名前が呼ばれた瞬間、感極まって左手で両目を押さえ、俯いたまま涙を拭い続けたのです。

メンバーの発表は年齢の高い順。

田中が呼ばれたということは三苫は落選が分かった瞬間の出来事でした。

発表のライブ配信中、三笘選手の落選を告げられた瞬間に長友選手が泣いていた。

その姿を見て、私は少し考えました。

彼はなぜ泣いたのか。

それは、仲間を思う気持ちからです。

自分が選ばれたことへの喜びではなく、三笘選手が選外になったことへの悔しさ、悲しさ。

長年にわたってチームのムードメーカーであり続けてきた長友選手らしい、あの涙だったと思います。

彼が泣いたのは、自分へのものではありませんでした。

ともに日の丸を背負い、このワールドカップを目指して戦ってきた仲間たちへの、計り知れない想いから。

長年にわたってチームのムードメーカーであり続けてきた長友選手らしい涙だったと思います。

「できる人」だけを集めても、強い組織にはならない

個人の能力だけで選手を並べれば、三笘選手や守田選手を外す理由はないかもしれません。

数字で見れば、クラブでの活躍は申し分ない。

でも、組織というのは「能力の総和」では動かないのです。

過去のワールドカップを振り返ると、日本代表はリーダー不在のとき苦戦してきた歴史があります。

技術や戦術だけでなく、チームの空気をつくれる人間がいるかどうか。

それが結果に直結することを、日本サッカーは何度も経験してきました。

長友選手はその役割を担ってきた選手です。

ワガママではない。でも、確かなリーダーシップがある。

チームに緊張が走ったとき、空気をほぐし、みんなが同じ方向を向けるようにする力。

そういう「見えない貢献」ができる人間が、組織には必要なのです。

プロ野球の読売ジャイアンツが教えてくれること

ビジネスの世界でも、まったく同じことが起きています。

かつて読売ジャイアンツは「スター選手を集めれば勝てる」という発想でチームを編成し続けました。

4番バッターが何人いても、エースが何人いても、常勝集団にはなれなかった。

なぜか。

組織には役割があるからです。

全員がエースである必要はなく、全員が4番である必要もない。

攻めの人がいれば守りの人が必要で、前に出る人がいれば後ろを固める人が必要で、表舞台に立つ人がいれば裏方に徹する人が必要です。

そのバランスが整って初めて、組織は機能する。

アリとハチが証明する、自然の法則

これは人間社会だけの話ではありません。虫の世界でも同じことが起きています。

アリやハチのコミュニティには、役割分担が明確に決まっています。

女王、働き蜂、兵隊アリ。

そして驚くべきことに、一部が死滅したとき、残った個体たちは自然とそれぞれの役割比率が元の状態に近づくように変化していくのです。

組織に必要な役割の「割合」は、野生の法則が証明しているように、ある種の必然として存在しています。

能力の高い個体だけを集めても、コロニー全体が機能するとは限らない。

むしろ役割バランスが崩れれば、どんなに優秀な個体の集まりでも弱体化していく。

これは、私たちが経営の現場でよく目にする光景と重なります。

「和の心」が最大の武器になる

日本人には、まとまったときに力を発揮するという特性があると思っています。

それは「和の心」です。

個が埋没するということではなく、それぞれが自分の役割を理解したうえで、全体のために動く。

そういう文化が、日本人のDNAには染み込んでいるのでしょうか。

2022年のカタールワールドカップで、日本がドイツとスペインを倒したとき、世界中が驚きました。

あの勝利は、個人の突出した才能だけで生まれたものではありませんでした。

全員がチームとして機能した結果です。

誰かが目立つためではなく、チームが勝つために動いた。

その一体感が、格上の相手を崩したのです。

長友選手がそのチームにいた意味は、戦力としてだけではなかったはずです。

あなたは今、組織の中でどこに立っていますか

あなたは今、自分がどんな役割を担っているか意識できていますか。

リーダーとして前に立つ人だけが優れているわけではありません。

縁の下を支える人、空気をつくる人、数字を積み上げる人、外の世界とつなぐ人。

どんな役割にも意味があり、どんな立ち位置にも価値がある。

ただ、自分がどの役割なのかを理解していない人は、組織の中で力を発揮しにくい。

自分に合わない役割を無理に演じようとすれば、本来の力が出せなくなります。

逆に自分の役割を理解して、そこに徹することができた人は組織全体を何倍も強くする。

今いる自分の立ち位置は、あなたが力を発揮できる場所ですか。

もしそこが違うと感じているなら、今こそ見直すタイミングかもしれません。

転職や独立という話だけではなく、今の組織の中での立ち方、関わり方を変えるだけで、あなた自身もチームも大きく変わることがあります。

強い組織は、多様な役割が噛み合っている

経営者の方にも、同じことを伝えたいと思っています。

採用のとき、「即戦力」「スキルが高い人」を優先する気持ちはよくわかります。

でも、組織に本当に必要なのは「能力の高さ」だけではない。

その人がチームの中でどんな役割を果たせるか。

その役割が今のチームに不足しているものかどうか。

そこまで見据えた採用ができているかどうかが、組織の強さを決めます。

数字が出せる人間を集めても、チームの空気をつくれる人間がいなければ、組織はいつかバラバラになります。

長友選手のような「空気をつくる人」を軽視したとき、チームは静かに弱くなっていく。

これは、あなたの会社でも起きているかもしれません。

さあ、ワールドカップが楽しみだ

日本代表への批判も、期待も、それだけ多くの人がチームを愛している証拠。

長友選手がどんなプレーを見せてくれるか。

チームがどんな一体感を見せてくれるか。

個々の戦力論を超えたところで、日本代表が「和の力」を発揮するとき、きっと世界をまた驚かせてくれると信じています。

そしてそれは、サッカーだけの話ではありません。

あなたのビジネスでも、今日から試せることがあるはずです。

自分の役割を見直す。

チームのバランスを見渡す。

「できる人」だけでなく「必要な人」を大切にする。

その小さな意識の変化が、組織を変え、結果を変えていきます。

今いる自分の立ち位置は、あなたの未来をつくれる場所ですか。

私は日本の「和の心」こそが世界を導くと信じています。

だから、ガンバレ日本!

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