商品力がなくても戦える会社の共通点。森保ジャパンに学ぶMVVという武器

サッカー日本代表残念でした。

ベスト32。

40年くらい代表の試合を観てきた私としては物凄い進歩です。

ネットでは森保監督などへの批判もありますが何を言っているんだという感じです。

さてさて。

ワールドカップで森保ジャパンが世界の強豪と渡り合う姿を見ながら、これは企業経営にも通じるものではないかと思うのです。。

体格でも身体能力でも日本人は欧州や南米の選手にどうしても劣ります。

一対一で真正面からぶつかれば、押し負ける場面は少なくありません。

それでも日本代表は、世界のトップと互角に戦ってきました。

なぜでしょうか。

森保監督は、あるインタビューでこう語っています。

組織力は間違いなく世界に誇れる。

組織力に個の力が加わったからこそ戦い方のフェーズが変わったと。

つまり、日本の勝ち筋は「個の突出」ではなく「組織の力を土台にして、個を活かす」ことにありました。

一人ひとりが何のために走り、どこへ向かいどんな判断をすべきか。

賛否両論ありますが東洋人にとってぴったりな戦略だと思うのです。

チーム全体で共有されているからこそ体格差という不利を補って戦える。

圧倒的な商品力を持たない中小企業の姿と重なります。

突出した武器がない会社ほど組織の力で戦うしかない

正直に言えば多くの中小企業や個人事業主には、これさえ出せば勝てるという圧倒的な商品がありません。

大企業のような資本力もなければ誰もが知るブランドもない。

小さな企業でもだまってても売れる様な商材を持っているならいいんです。

でも多くの中小零細企業はそうではない。

多くの会社はありがちな商材を扱い。

頑張って営業力で凌いている。

扱う商材も一つに絞れず、あれもこれもと幅広く手掛けている会社も多いはずです。

これは身体能力に劣る日本代表と同じ状況。

個の力、つまり単体の商品力だけで勝負しようとすれば必ずどこかで押し負けます。

ではどうやって大手や競合と戦うのか。

答えは、日本代表が示してくれています。

組織全体で目的を共有し、一人ひとりの判断をそろえること。

バラバラの個を、一つの方向に束ねること。

この「方向を束ねる軸」こそが、ミッション・ビジョン・バリュー。

いわゆるMVVなのです。

MVVとは何か

MVVは企業が持つべき三つの軸を指します。

ミッションは

その会社がなぜ存在するのかという使命です。

世の中に対して何を果たすのか、事業の根本にある目的にあたります。

サッカーで言えば、私たちは何のために戦うのかという問いへの答えです。

ビジョンは

目指す未来の姿です。

ミッションを果たし続けた先に、自分たちはどうなっていたいのか。

ベスト8以上という代表チームの目標のようにめざす到達点を描いたものです。

バリューは

日々の行動や判断の基準となる価値観です。

ミッションとビジョンを実現するために、自分たちはどう動き何を大切にするのか。

ピッチ上で選手が迷わず判断するための、共有されたルールにあたります。

この三つは、順番につながっています。

なぜ存在するのか、どこを目指すのか、そのためにどう動くのか。

この流れが一本の筋として通っているとき、組織ははじめて同じ方向を向いて走れるようになります。

森保ジャパンが強かったのは戦術という枠組みの中で、選手一人ひとりが自分で考えて最適な答えを出せたからだと言われています。

これはまさに、バリューが浸透した組織の姿です。

いちいち監督が指示を出さなくても、共有された基準に沿って各自が動ける。

企業で言えば社長がすべてを決めなくても、社員が自分で正しい判断を下せる状態です。

MVVがない企業は、どこで崩れるのか

では、この軸を持たない会社はどうなるのでしょうか。

私がこれまで見てきた中でも、次のような場面でつまずく会社は少なくありません。

一つ目は、判断がそのつどブレることです。

軸がないと何を優先すべきかで毎回迷います。

目先の売上や声の大きい人の意見に流され、事業の方向が場当たり的になっていきます。

サッカーで言えば全員がボールに群がって誰も戻らない状態です。

二つ目は、社員がバラバラの方向を向くことです。

共通の目的がないと、それぞれが自分なりの解釈で動きます。

ある社員は品質を最優先し、別の社員はスピードを優先する。

どちらも間違いではないのにかみ合わずに社内で摩擦が起きます。

個の力はあるのに、組織として力を発揮できない。

これはうまく連携できないチームがいくら良い選手を集めても勝てないのと同じです。

三つ目は、採用でミスマッチが増えることです。

判断の基準がないと、能力だけを見て採用してしまいます。

結果として価値観の合わない人が入り、早期離職や社内の対立につながります。

どんな選手を選ぶかという基準がなければ良いチームは作れません。

四つ目は、会社らしさが外に伝わらないことです。

何を大切にする会社なのかを言葉にできないと、他社との違いが埋もれます。

商品が悪くなくても、なぜこの会社を選ぶのかという理由をお客様に届けられないのです。

商品力で圧倒できない会社ほど、この四つは致命傷になります。

個で勝てないのに組織の力まで失えば、もはや戦う術がありません。

では、どうやって組み立てていくのか

MVVは、立派な言葉を並べれば完成するものではありません。

私たちが大切にしているのは次のような順序で組み立てることです。

まず、なぜこの仕事を始めたのかを掘り下げます。

創業のきっかけ、悔しかった経験、こういう会社にしたいという想い。

このいちばん奥にある動機が、ミッションの種になります。

借り物の言葉ではなく、自分の中から出てきた言葉でなければ、社員には響きません。

次に、その使命を果たした先にどうなっていたいかを描きます。

数年後、自分たちの会社やお客様や地域がどう変わっているのか。

できるだけ具体的に、情景が浮かぶくらいまで描くとビジョンは力を持ちます。

最後に、そのために日々どう動くかを言葉にします。

これがバリューです。

ここで大事なのはきれいごとではなく、実際の判断に使える具体性を持たせることです。

迷ったときにこの言葉に立ち返れば答えが出る、というくらい日常に根ざしていなければ意味がありません。

そして何よりこの作業を経営者一人でやらないことです。

森保監督が選手の自主性を引き出したように、現場の社員を巻き込んでいく。

自分たちで決めた言葉だからこそ人は本気でそれを守ろうとします。

商品力がなくても、戦い方は作れる

身体能力に劣る日本代表が、世界と互角に戦えたのは、組織の力で個の不利を補ったからでした。

圧倒的な商品がなくても、扱う商材がばらついていても企業は戦えます

一人ひとりの判断を束ね同じ方向に向かわせる軸さえあれば。

その軸こそが、ミッション・ビジョン・バリューです。

これは大企業だけのものではありません。

むしろ、個の力で勝負できない中小企業にこそ、必要なものだと私は考えています。

もし自分の会社の軸をどう言葉にすればいいか迷っているなら、まずは一つだけ問いかけてみてください。

私たちは、何のためにこの仕事をしているのか。

その答えの中にあなたの会社の勝ち筋が眠っているはずです。

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