フリーランスは本当に自由か|税・営業・孤独・人脈のリアル

朝のウォーキングが習慣になっています。

旭川の朝は空気が違います。季節ごとに変わる景色を見ながら歩くのが、一日の始まりになっています。耳にはイヤホン。radikoでワンモーニングを流しながら歩くのが、ここ最近のルーティンです。

6時からの放送で、気になる話題が耳に入ってきました。

近年、フリーランスから会社員に戻る人が増えている。

うんうん、と思いながら歩き続けました。たまに左寄りの大学の先生なんかも出てきて、話半分に聞くこともありますが、この話は肌感覚とぴったり重なりました。

そうだよな、と思ったのです。

最近、税金が上がりすぎた。

国民健康保険も、物価上昇の波をもろに食らっています。

フリーランスブームで市場にライバルが溢れて、単価も下がってきた。インボイス制度が始まって、これまで気にしなくてよかった消費税が重くのしかかってきた。

フリーランスは自由だという話はどこへ行ったのか。

フリーランスは、フリーじゃなくなりつつある。

歩きながらそんなことを考えていたら、自分のこれまでのことが次々と頭に浮かんできました。

独立してから今日まで、良かったこと、きつかったこと、気づいたこと。

少し整理して、書いてみようと思います。

電話が鳴れば出なければならない

旅行先でもです。クライアントからの連絡に、日時の境目はありません。

夜でも、土日でも、家族との時間でも、着信は来ます。

出なければ仕事を失うかもしれない。そういう緊張感が、常に頭の片隅にあります。

出戻りを経験した人たちの声を聞いていると、フリーランス歴8年で転職活動中だという女性が「長期休暇を取ったとき、自分の席が保証されないという感覚が常にあった」と語っていました。

旅行先で仕事の電話を取ることは、珍しくも何ともない。それがフリーランスの日常です。

お金の話は、寝ていても頭から離れない

フリーランスの専業者のうち、32%が「月収0円の月」を経験しているというデータがあります。

全く収入がない月が続くこと、私にもありました。

そしてそういうときに限って、税金の請求が来ます。

国民健康保険料は、会社員時代の感覚からするとあり得ない金額です。

前年の収入を元に計算される住民税と国保は、稼いだ翌年に一気に請求される仕組みなので、稼いだ年の翌年は特にきつい。

個人事業税、予定納税、そして取引先の関係でインボイス登録をすれば、消費税の納税義務が発生して、それだけで年間数十万単位の出費になります。

収入への不満を調査すると、フリーランスの42%が「収入に不満」と回答していて、全調査項目の中でワーストという結果が出ています。

寝ていても考えるほどお金の心配が尽きないのに、一人でできる仕事量には限界があります。

休みなく、時間関係なく働いて、やっと周りのサラリーマンより少し良いくらい。

そういうフリーランスは、決して少なくありません。

仕事がなければ、営業しなければならない

技術系のフリーランスなら、会社員時代に営業なんてほとんどやったことがない、という人が多いはずです。私もそうでした。

どうやって仕事を取ればいいのか、最初は本当に分からなかった。

でもやらなければ食べていけないから、やるしかありません。

そしてもう一つ、フリーランスの営業には構造的な罠があります。

忙しくなると営業ができなくなる。そして仕事が切れた時に、次の仕事が何もないことに気づいて驚愕する。

元請けからのスケジュールと締切に追われて、自分で動く時間が持てない期間が続くと、気づけば手元には何も残っていない。

この循環から抜け出すのに苦労するフリーランスは多いです。

また、独立して間もない頃に感じる「成長機会の欠如」も、出戻りの一因として語られます。

会社員であれば上司からの指導や研修、ジョブローテーションがあり、組織に育てられる環境が整っています。

フリーランスは基本的に自分で学ぶしかなく、激変するAI技術を孤独に、そして無給で追い続けるプレッシャーもある。

フリーランスは、フリーじゃない。こう言い切れる理由が、これだけ並びます。

それでも、私はこの生き方を選んで良かったと思っている

フリーランスや経営者の道には、会社員時代には想像もしなかったものが待っています。

仕事の人間関係を自分でコントロールできる。

苦手な人とは距離を置けるし、好きな人と深く関われる。

これは、組織に属している限りなかなか手に入らない自由です。

子供の参観日には、いつも行きました。

保育園の送り迎えも、できました。

サラリーマンの同僚が「行けなかった」と言う行事に、私は全部顔を出せた。

子供にとって、親がそこにいることがどれほどのことか。

これは、お金には換算できない価値です。

時々、サラリーマン時代には考えたこともないような金額が手元に入ることもあります。

税金は怖いけれど、それは稼いだ証拠でもある。

そして、人脈です。

フリーランスや経営者は、知り合いが多くないと仕事につながりません。

だから必然的に、あらゆる層の人と関係ができていきます。

政治家、公務員、医者、地方のメディア関係者と普通に挨拶できる関係になる。

サラリーマン時代なら、まず接点すら生まれなかった人たちです。

子供の高校でPTA役員をやったら、校長・教頭・進路指導の先生と自然に仲良くなって、子供の進路情報収集にも役立ちました。

やり切った人にだけ見えてくる世界があります。

フリーランスや会社経営者として生き抜いてきた人間だけが立てる場所があります。

向いている人と、向いていない人がいる

フリーランスや起業には、人里離れて誰にも関わらずひっそり生きる選択肢もあります。

一方で、都会で同世代が羨むような生活ができる可能性もある。

その振れ幅の大きさ自体が、フリーランスという生き方の本質かもしれません。

ストレスに弱い人には、向きません。

仕事を楽しめない人にも、向きません。

安定を何より大切にしたいなら、会社員の方が合っています。

それは正しい選択です。

ただ、生き方は自由になるけれど仕事と生活の境目はなくなります。

それを「不自由」と感じる人もいるし、「それでいい」と感じる人もいます。

後者なら、踏み出す価値はあります。

出戻りが増えている現実を見ても、私の考えは変わりません。

フリーランスになることよりも、なる前に「なぜ独立するのか」の答えを持てているかどうかの方が、はるかに大事だからです。

目的のない自由は、ただの漂流です。

人生の終わりに後悔しないために

少なくとも私は、良い生き方をできていると思っています。

同窓会に行けば、経営者や農家、銀行マン、政治家、売れている保険屋、出世した会社員の同級生とにぎやかに話せます。

サラリーマンの同級生との会話がたまにつまらなくなるかもしれないけれど、それは仕方ない。

見ている世界の解像度が、違ってくるから。

人生の終わりに後悔しないために。

その一点で、私はこの道を選び続けています。

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