デザイナーになりたい学生たちへ

ChatGPT Image 2026年6月6日 17 30

「デザイナーになりたいけど、まず何のソフトを触ればいいんだろう?」

これは、デザインに興味を持った人がほぼ全員ぶつかる最初の壁だと思う。

ネットで調べると「プロはこれ」「初心者はこれ」といろんな名前が出てきて、結局どれを選べばいいのか分からなくなる。しかもプロが使うソフトは昔めちゃくちゃ高くて、学生がいきなり手を出せるものじゃなかった。

でも、ここ最近でその状況がガラッと変わった。

今日はよく比べられる「Canva(キャンバ)」と「Affinity(アフィニティ)」について、これからデザイナーを目指す人に向けてできるだけフラットに整理してみる。

この2つは「どっちが勝ち」みたいな話じゃない。

役割がぜんぜん違う。

まず大前提2025年にAffinityが無料になった

この話をするうえで絶対に知っておいてほしいニュースがある。

2025年の10月末、Affinityというプロ向けのデザインソフトがなんと基本機能を全部無料で使えるようになった。

もともとAffinityは、Adobeの高いソフト(PhotoshopやIllustrator)の代わりとして人気だった。

それでも3本そろえると数万円はする、ちゃんとした有料ソフトだったんだ。

それが、Canvaを運営している会社にAffinityをつくっていたSerifという会社が買収されて、最終的に「Affinity by Canva」という形に生まれ変わった。

そしてCanvaのアカウントさえ持っていれば、誰でも無料で使えるようになったんだ。

昔なら「お金がないから本格的なソフトは無理」と諦めていた人が、いきなりプロと同じ道具を手にできるようになった。

これ、地味だけどかなりすごいことなんだ。

Canvaってどんなツール?

まずはCanvaから。

Canvaをひとことで言うと「テンプレートを選んで、文字や写真を差し替えるだけでデザインが完成するツール」だ。

SNSの投稿画像、動画のサムネイル、チラシ、プレゼン資料、簡単な動画。こういう「身のまわりでよく見かけるデザイン」は、ほぼぜんぶCanvaでつくれる。

いちばんの強みは、とにかく迷わないこと。

プロがつくったお手本(テンプレート)が大量に用意されていてその上に自分の言葉や画像を乗せていくだけ。

素材も写真もフォントも最初から入っているからゼロから何かを描く必要がない。

スマホでもパソコンでも動くし、操作もドラッグするだけ。

「デザインソフトって難しそう」というイメージを最初に壊してくれるのがCanvaだ。

言い換えると、Canvaは「速く、それっぽく、形にする」のが得意なツールといえる。

Affinityってどんなツール?

いっぽうのAffinityは、もっと本格的。

テンプレートをはめ込むツールじゃなくて、「自分の手でゼロからデザインをつくり込む」ためのソフト。

プロの現場で実際に使われているレベルの機能が一通りそろっている。

今のAffinityは3つの機能がひとつのアプリにまとまっていて、画面を切り替えるだけで作業の種類を変えられる。

  • 写真を加工したり合成したりするモード(昔のAffinity Photo。Photoshopに近い役割)
  • ロゴやイラストを線で描いていくモード(昔のAffinity Designer。Illustratorに近い役割)
  • チラシや冊子のページをレイアウトするモード(昔のAffinity Publisher。InDesignに近い役割)

「ロゴをきれいに描きたい」「写真をがっつり加工したい」「何ページもある冊子をきっちり組みたい」。

こういう、自分の意図をしっかり込めたものづくりはAffinityの領域だ。

そのぶん、最初は覚えることが多くて、ボタンの意味も分からないと思う。

テンプレートに頼れないから、「自分で何をつくるか」を考える力も必要になる。

でも、ここを越えられるかどうかが、「デザインができる人」になれるかどうかの分かれ道だったりする。

どっちが上、じゃなくて「役割が違う」

ここまで読んで気づいた人もいると思う。

CanvaとAffinityは、ライバルというより役割分担なんだ。

Canvaは「あるものを組み合わせて、すばやく形にする」ツール。

Affinityは「ないものを、自分の手で生み出す」ツール。

たとえば料理でたとえてみる。Canvaはミールキットだ。

材料とレシピがそろっていて、手順どおりにやればちゃんと美味しいものができる。

Affinityは、食材を自分で選んで、包丁を握るところから始める自炊だ。

どっちが偉いという話じゃない。でも、料理人を目指すなら、最後には包丁の握り方を知っておいたほうがいい。

それと同じ。

しかも今は、この2つが同じCanvaの中でつながっている。

Canvaでざっくり形をつくって細かい仕上げはAffinityで詰める、みたいな行き来もしやすくなった。

だから「どっちかだけ」と気負わなくていい。

じゃあ、何から始めればいい?

ここからが本題だ。

これからデザイナーを目指す人へのおすすめははっきりしている。

まずはCanvaから始めてみよう。

理由はシンプルで、最初に大事なのは「完成させる体験」だからだ。

いきなり難しいソフトを開いても、何もつくれずに心が折れて終わり、というパターンが本当に多い。

それよりも、Canvaでいいから自分の手で1枚のデザインを完成させて「お、できた」という感覚をたくさん積むほうが先なんだ。

SNSのアイコン、好きなバンドの架空のライブ告知、文化祭のポスター。

何でもいいから、とにかくたくさんつくってみよう。

そうやって手を動かしているうちに、だんだん物足りなくなってくる瞬間が来る。

「テンプレートにない形をつくりたい」「このロゴ、自分で一から描いてみたい」「もっと細かく色や線をコントロールしたい」。

この「物足りなさ」を感じたときが、Affinityに進むタイミングだ。

順番が逆だとつらい。つくりたいものが何もない状態でAffinityの分厚い機能だけ眺めても、ただの作業になってしまう。

Canvaでつくりたい気持ちを育ててから進むと、Affinityの機能ひとつひとつが「これがやりたかったやつだ」に変わる。

しかも今はどっちも無料で始められる。お金の心配をせずに、自分のペースで一段ずつ上がっていける。

これは、ちょっと前のデザイナー志望からすると、かなり恵まれた環境なんだ。

そしてもうひとつ大事なこと。Affinityで身につけた力は、その先のプロの現場でもちゃんと通用する。

仕事の現場では、今もAdobeのPhotoshopやIllustratorが業界標準として広く使われている。

Webやアプリのデザインなら、Figmaという別のツールが定番だ。

将来デザインを仕事にするなら、どこかでこういうプロのツールに触れることになるはずだ。

ここで効いてくるのが、Affinityでの経験なんだ。

Affinityで覚える「線で図形を描く」「写真をレイヤーで重ねて加工する」「ページをきっちりレイアウトする」という考え方は、AdobeでもFigmaでも基本は同じだ。

ボタンの場所や名前が違うだけで、土台になっている発想は共通している。

だから流れとしては、Canvaでデザインの楽しさを知って、Affinityで本格的なつくり込みを覚えて、必要になったらAdobeやFigmaといったプロツールへ移っていく。

この階段を、お金をかけずに自分のペースで上っていける。

最初からいきなり高い業界標準ソフトを買う必要はない。

無料の今のうちに土台を固めておけばいざプロのツールに触れたとき、まわりよりずっと早く使いこなせるようになる。

ツールはあくまで道具。本当に磨くべきは感性です

最後に、少しだけ真面目な話をさせてください。

ここからは、これからの時代を担うみなさんへのひとりの先輩からのお願いとして読んでもらえたら嬉しい。

CanvaにしてもAffinityにしても、結局はただの道具にすぎません。

そして今は、ボタンひとつでそれっぽいものをつくってくれるAIや、選ぶだけで完成するテンプレートもあふれています。

本当に便利な時代になりました。

でも、これからデザイナーを目指すみなさんにこそ、伝えておきたいことがあります。

本当に大切なのは、AIやテンプレートに頼り切らず自分自身の感性を磨いていくことです。

「なんだかこの配色、いいな」

「この余白の取り方、気持ちいいな」

そういう感覚は、誰かがつくったものをただ眺めているだけでは育ちません。

自分の目でしっかり見て、自分の手を動かして少しずつ自分の中に蓄えていくものです。

そのためにいちばん効くのが、たくさん真似してたくさん絵を描くことです。

「いいな」と思ったデザインに出会ったら、どこがいいのか考えながら、自分の手で真似てみてください。

最初は真似することに気が引けるかもしれません。

でも、上達していく人はみんな、数えきれないほど真似を重ねて、自分の引き出しを増やしてきました。

真似て、描いて、また真似て。その積み重ねでしか、自分だけの引き出しは増えていきません。

AIが一瞬で出した答えと、自分が手を動かして悩みながらたどり着いた答え。

見た目はよく似ていても、その中身はまるで違います。

後者を積み重ねてきた人だけがAIやテンプレートを「使いこなす側」に回れるのです。

だから、どのツールを選ぶか悩む時間も大切ですが、それ以上にいいものをたくさん見て、たくさん真似して、たくさん絵を描く時間を持ってください。

デザインの本当の土台はソフトの機能ではなく、そうやって磨かれたあなた自身の感性の中にあります。

まずはCanvaを開いて、好きなデザインを1枚マネしてつくってみましょう。

すべては、そこから始まります。

こんなにも早くデザインに興味を持てているということ。

それだけでみなさんはもう十分に強いです。

心から応援しています。

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