“探す楽しさ”を売る売場設計と、ホームページ・広告に活かせる考え方
カルディといえば、イオンや商業施設の中に入っていて、なんかいろいろ美味しそうなものが売っているお店、というイメージがありますよね。
謎の海外菓子、パスタソース、瓶詰め、スパイス、冷凍食品、見たことのない調味料。
正直、よく分からないものも多いです。
でも、なんかうまそう。
この「よく分からないけど、なんか良さそう」という感覚が、カルディのかなり大きな強さだと思います。
普通のスーパーとは明らかに違います。
そして、その違いは偶然ではなく、かなり意図的に作られているように見えます。
普通のスーパーは“分かりやすさ”で勝つ
まず、普通のスーパーを考えてみると分かりやすいです。
スーパーは基本的に、買い物を効率化する場所です。
野菜は野菜売場、肉は肉売場、調味料は調味料売場。
通路も広く、欲しいものにすぐたどり着けるように作られています。
日常の買い物としては、それが正解です。
仕事帰りに必要なものを買う。
夕飯の材料を揃える。
子どものお弁当用に冷凍食品を買う。
こういう目的買いにおいては、分かりやすさがそのまま価値になります。
一方で、カルディは少し違います。
カルディは“探す楽しさ”で勝つ
カルディの店内は、通路がやや狭く、商品がぎっしり並んでいます。
パッケージも見慣れないものが多く、初めて入ると、どこに何があるのか正直あまり分かりません。
普通に考えると、不便です。
でも、この不便さこそがカルディの強さなんだと思います。
カルディに入ると、予定していなかった商品がどんどん目に入ってきます。
輸入菓子、珍しい調味料、季節限定の商品、見たことのないドリンク。
普通のスーパーなら素通りするような商品でも、カルディだとなぜか足が止まる。
これは単に商品数が多いからではなく、「探す行為そのもの」が体験になっているからです。
カルディでは、買い物が作業ではなく探索になります。
欲しいものを探すだけではなく、知らないものに出会う時間になっている。
この差はかなり大きいです。
“ごちゃごちゃ”ではなく、宝探し感
カルディの売場は、一見するとごちゃごちゃしています。
棚には商品がぎっしり並び、ポップも多く、パッケージの色も強い。
でも、それが逆に「何かありそう」という期待感を生んでいます。
きれいに整理されすぎた売場は、見やすい反面、驚きは少なくなります。
一方でカルディは、少し宝探し感があります。
「こんなのあったんだ」
「これ美味しそう」
「ちょっと試してみたい」
この小さな発見が、予定外の買い物につながっているんだと思います。
ここで面白いのは、カルディは単に迷わせているわけではないということです。
ただ分かりにくいだけなら、ストレスになります。
でもカルディの場合は、見慣れない商品、海外っぽいパッケージ、季節限定、手に取りやすい価格帯、店内の密度感が合わさることで、「何か見つかりそう」という期待に変わっています。
つまり、迷わせているのではなく、楽しく寄り道させている。
ここがかなり上手いところです。
カルディは“買う理由”まで売っている
カルディの強さは、商品そのものだけではありません。
「買う理由」を一緒に売っているところも大きいです。
例えば、ただのお菓子なら我慢するかもしれません。
でも、海外のお菓子だと「珍しいから」「試してみたいから」と思える。
ただの調味料なら買わないかもしれません。
でも、見たことのないスパイスやソースだと「家でちょっと変わった料理ができそう」と感じる。
つまり、商品に“言い訳”が付いているんです。
人は、必需品だけを買っているわけではありません。
むしろ、ちょっとした楽しみや、試してみたい気持ちにお金を使うことが多い。
カルディはそこをかなり上手く突いています。
日常と非日常のバランスがうまい
カルディは完全な非日常の店ではありません。
もし珍しい輸入食品だけの店だったら、たまにしか行かない店になるかもしれません。
でもカルディにはコーヒーがあります。
コーヒーは日常商品です。
毎日飲む人も多いですし、価格感も分かりやすい。
この日常商品があることで、カルディは入りやすさを保っています。
コーヒーを買いに行く。
ついでに輸入菓子を見る。
気になった調味料を試す。
こうやって、日常の買い物の中に、ちょっとだけ非日常を混ぜ込んでいます。
このバランスがかなり上手いです。
日常に寄りすぎると普通のスーパーになる。
非日常に寄りすぎると、たまにしか行かない専門店になる。
カルディは、そのちょうど間にいます。
店そのものがメディアになっている
もう一つ重要なのが、カルディは“店そのものがメディア化している”ということです。
カルディの商品は、SNSや口コミで話題になりやすいですよね。
「カルディでこれ買った」
「これ美味しかった」
「これ便利だった」
こういう投稿が自然に生まれます。
これは、単に商品が珍しいからだけではありません。
売場で発見する体験があるから、人に言いたくなるんです。
普通の商品を普通に買っただけでは、わざわざ投稿しません。
でも、「見つけた感」があると、人は誰かに言いたくなります。
つまりカルディは、広告だけで認知を取っているのではなく、店頭での発見体験によって、口コミが生まれやすい構造を作っています。
この“発見ループ”がかなり強いです。
珍しい商品を見つける。
試しに買う。
美味しかったら誰かに言う。
SNSで見た人がまた店に行く。
そして別の商品を見つける。
この循環があるから、カルディはただの食品店ではなく、「何か見つかる場所」として記憶されていきます。
カルディが売っているのは“期待感”
ここまで見ると、カルディが売っているのは輸入食品だけではないと分かります。
売っているのは、「何か面白いものが見つかるかもしれない」という期待感です。
だから用事がなくても入ってしまう。
そして、気づいたら何か買っている。
この構造がかなり強いです。
商品を売る前に、まず「入りたくなる理由」を作っている。
そして、店内で「見たくなる理由」を作っている。
さらに、商品に「買ってもいい理由」を付けている。
この流れがあるから、予定外の購買が自然に生まれるんだと思います。
ホームページや広告にも同じことが言える
この考え方は、ホームページや広告デザインにもかなり活かせます。
多くのホームページは、分かりやすく整理することばかりを考えます。
もちろん、それは大事です。
欲しい情報にすぐたどり着けないサイトは、普通に使いづらいです。
サービス内容、料金、実績、問い合わせ導線。
これらは分かりやすく整える必要があります。
ただ、きれいに整理されているだけだと、印象に残らないことがあります。
全部が整いすぎている。
全部が予想通り。
全部が説明っぽい。
これだと、見やすいけど記憶には残りにくい。
大事なのは、見やすさと発見のバランスです。
“迷わせない”だけでは足りない
広告やホームページでは、よく「迷わせない導線」が大事だと言われます。
これは間違いではありません。
問い合わせボタンが分かりにくい。
料金がどこに書いてあるか分からない。
何の会社なのか一瞬で伝わらない。
こういう状態は、当然よくありません。
ただ、すべてを最短距離にしすぎると、ただの説明書になってしまいます。
カルディのように、予定外に見つける。
つい気になる。
もう少し見たくなる。
試したくなる。
この余白があるから、人は動きます。
つまり大事なのは、ただ迷わせないことではなく、楽しく寄り道させることです。
“発見”があるサイトは記憶に残る
例えば、制作実績の見せ方でもそうです。
ただ画像を並べるだけなら、見やすくはあります。
でも、それだけでは印象に残りにくい。
そこに「なぜこのデザインにしたのか」「どんな課題を解決したのか」「どういう意図でこの導線にしたのか」が書かれていると、読み手は少し深く見たくなります。
広告も同じです。
ただ安い。
ただ早い。
ただ高品質。
これだけでは、比較されて終わります。
でも、「こんな使い方がある」「こういう悩みに効く」「実はここで差が出る」と見せると、読み手の中に発見が生まれます。
その発見が、問い合わせや購入のきっかけになります。
売れる導線は、必ずしも一直線ではない
カルディを見ていると、売れる導線というのは、必ずしも一直線ではないと感じます。
最短距離で買わせるだけが正解ではありません。
むしろ、少し寄り道したほうが、興味が深まることもあります。
ホームページや広告も同じです。
分かりやすく整えることは大前提です。
そのうえで、思わず見たくなる仕掛けや、つい選びたくなる余白を作れるか。
ここがかなり大事だと思います。
情報を並べるだけで終わるのか。
それとも、見た人の中に小さな発見を作れるのか。
その差が、記憶に残るブランドと、ただ通り過ぎられるブランドの違いなのかもしれません。
まとめ
カルディが強いのは、単に珍しい商品を売っているからではありません。
用事がなくても入りたくなる。
入ったら何か見つかる気がする。
見つけたら誰かに言いたくなる。
この流れを作れているから強いんだと思います。
カルディが売っているのは、輸入食品だけではなく、「何か見つかるかもしれない」という期待感です。
ホームページや広告も同じです。
分かりやすさはもちろん大事です。
でも、それだけでは足りません。
見やすく整えたうえで、思わず回遊したくなる魅力を作れるか。
つい読んでしまう引っかかりを作れるか。
選ぶ理由だけでなく、見たくなる理由まで設計できているか。
ここが、これからのデザインや広告ではかなり大事になってくると思います。
デザイン系の専門学校卒業後、WEB動画系会社、フリーランスを経て現職へ。株式会社ガイネット取締役。映像制作、SNSプロデュース、グラフィックデザイン、イラストを手掛ける。
