鰻の成瀬は「成功」だったのか?

鰻の成瀬。
一度は行かれたことがある方も多いのではないでしょうか。

「安くうなぎが食べられる店」として一気に話題になり、
短期間で全国へ拡大。

一見すると、大成功のように見えます。


異常とも言えるスピード成長

2022年に1号店が誕生してから、わずか数年。

約380店舗規模まで拡大

通常の飲食業では、まずあり得ないスピードです。

そして今回、

株式売却(実質的な身売り)
評価額は約1億円

この規模感からすると、やや違和感のある数字にも見えます。


ビジネスモデルは極めて合理的

鰻の成瀬のモデル自体は、非常によくできています。

  • セントラルキッチンで大量調理
  • 中国産うなぎでコストを抑制
  • 職人不要の簡易オペレーション
  • フランチャイズで一気に拡大

「再現性の高いモデル」

だからこそ、ここまで一気に広がりました。

また、

うな重が1,600円前後

という価格帯は、
高騰していた鰻の“大衆化”という意味でも大きな価値があります。


ただし「安さ」には限界がある

一方で、構造的な課題も見えてきます。

  • 鰻はそもそも原価が高い
  • 価格が不安定
  • 他業態(牛丼チェーン等)との価格競争

安さだけでは差別化が難しくなる

ビジネスとして成立していても、
継続的に勝ち続けるかは別問題です。


フランチャイズ構造のズレ

急速な拡大の裏で、

  • オーナーの撤退
  • 短期間での閉店

が相次ぎました。

ここで見えてくるのが、

本部と現場のズレ

  • 本部は拡大で利益を得る
  • 各店舗は利益が伸びにくい
  • サポート不足が顕在化

このズレが積み重なると、
どこかで歪みが表に出てきます。


見逃せない「想い」の問題

もう一つ重要なのが、

会社として何を大事にしているか

過去の発言として、

  • 仕組みに興味がある
  • 食そのものへのこだわりは薄い

といったニュアンスがありました。

経営としては合理的です。
むしろ正しい判断とも言えます。

ただし、

それだけで“選ばれ続けるか”は別


人は「合理性」だけでは動かない

  • この店が好き
  • また来たい
  • 誰かに勧めたい

こういった感情は、

安さや効率だけでは生まれません。

  • 味へのこだわり
  • 接客
  • 体験
  • ストーリー

こういった“非合理”な部分が、
最終的な差になります。


まとめ:拡大が価値を追い越した

今回の話を一言で言うと、

「拡大が設計と価値を追い越した」

モデルは正しかった。
ただし、持続性は別の話だった。


これは他人事ではない

この構造、実はどの業界にもあります。

例えば制作・広告でいうと、

  • とりあえず作る
  • とりあえず出す
  • とりあえず整える

こういった積み重ねは、

“形だけのアウトプット”になりがちです


最後に

個人的に強く思うのは、

「想い」が設計の中心にあるかどうか

です。

  • なぜこの事業をやっているのか
  • 誰に何を届けたいのか

これが見えているかどうかで、

アウトプットの質は大きく変わります。

ただ依頼されたものを作るのではなく、
そこにある想いを理解し、反映する。

その積み重ねが、

「選ばれる理由」になる

そんなことを改めて考えさせられる事例でした。

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