ネトフリで配信されている細木数子のドラマを毎晩寝る前に一話ずつ観ています。
タイトルは「地獄に堕ちるわよ」です。

正直に書くと、生前の細木数子はあまり好きではありませんでした。
テレビで断言口調で人の人生に切り込んでいくあのスタイルが苦手だったのです。
ところがドラマで描かれる若き日の彼女を観ているうちに、少しずつ印象が変わってきました。
もちろん描かれているのはとんでもない悪女です。
人を蹴落とし、利用し、嘘もつき、目的のためなら手段を選ばない。
褒められたものではまったくありません。
それでも観ながら何度も思うのです。
経営者として、この感覚はどこかで持っておかないといけないんじゃないか、と。
今日はその違和感の正体を、自分の言葉で整理してみたいと思います。
万人におすすめできる話ではありません。
会社員として真っ当に働いている方が読んだら胸糞悪いだけかもしれません。
ただ、自分で事業をやっている方、これから起業を考えている方には、何かしら引っかかるものがある内容になると思います。
ドラマで描かれる細木数子という経営者
ドラマの細木数子は、戦後の混乱期から銀座のクラブ経営、不動産、出版と、次々に事業を広げていきます。
驚かされるのはその嗅覚の鋭さです。
誰がこの先伸びるのか、どの土地に価値が出るのか、何が時代に求められるのか。
これを掴む速度が常人と違う。
そして「いける」と判断したら、もう止まりません。
資金を集め、人を動かし、邪魔になる相手は容赦なく切り捨てる。
普通に観ていたら「酷い人だな」で終わる場面が、何度もあります。
実際、酷い場面も多いのです。
ただ経営者として観ていると、これは単なる悪行ではなくて、ある種の経営判断の連続なんだと気づきます。
事業を成功させるには、どこかで誰かを切らないといけない瞬間が必ず来る。
取引を断る、提案を蹴る、合わない人材と別れる、価格を上げる、長年の常連を諦める。
そういう「やりたくない決断」を、どれだけ早く、どれだけ躊躇なくできるか。
これが事業の伸び方を決めます。
ドラマの細木数子はそれを極端な形で見せてくれているわけです。
「いい人経営者」が陥りやすい罠
私たちガイネットは旭川と札幌で中小企業の経営者と日常的に接しています。
Web制作や集客の相談を受けながら、いろんな経営者の方を見てきました。
その中で気づいたことがあります。
事業がなかなか伸びない経営者には、ある共通点があるのです。
それは、優しすぎることです。
具体的には、こういう傾向があります。
値上げをすべきタイミングで値上げできない。
合わないお客さんとの取引を切れない。
成果の出ていないスタッフに辞めてくれと言えない。
費用対効果の悪い広告を惰性で続けている。
古い付き合いの業者を、相場より高くてもずっと使い続けている。
どれも、人として誠実な姿勢です。
否定するつもりはまったくありません。
私自身もこういう優しさを大事にしたいと思っています。
ただ、事業として見たときには、これらは確実にコストです。
そしてそのコストは、最終的には自分のスタッフの給料、家族の生活、未来の投資から差し引かれていきます。
優しさを発揮した相手と、その優しさのしわ寄せを受ける相手は、別人なのです。
ドラマの細木数子はこのトレードオフに対して、ほとんど迷いがありません。
事業のために必要なら切る。
痛みを伴う決断を、痛みを感じている時間を最小化して下す。
ここに学びがあると感じます。
やると決めたら突き進む、の本当の意味
もう一つ印象的なのが、彼女の「やると決めたら突き進む」姿勢です。
これは精神論として語られがちですが、ドラマを観ているとそうじゃないと気づきます。
突き進むためには、その前に「決める」という工程が必ずある。
何をやって何をやらないか、誰を取って誰を捨てるか、どのリソースをどこに集中させるか。
これを先に決め切っているから、後から迷わずに突き進めるのです。
中小企業の経営でよくあるパターンは、この「決め切り」が甘いまま走り出してしまうことです。
新しいサービスを始めると言いながら既存事業に手を抜けず、新規顧客を取りに行くと言いながら今のお客さんへの対応に追われ、Webに力を入れると言いながら飛び込み営業もやめられない。
結果として、どれも中途半端になります。
決め切るというのは、捨てるものを決めるということです。
新しいことを始めるなら、何かをやめないといけない。
新規層を狙うなら、今のメイン客の一部は離れる前提で動く。
Webに本気で投資するなら、別の予算を削る。
ドラマの細木数子の凄みは、この捨てる判断を、躊躇なく、しかも早く下すところにあります。
嫌われる勇気と、嫌われていい勇気は違う
ここまで書いてきて、誤解されたくないことが一つあります。
「経営者は冷酷であれ」と言いたいわけではないのです。
ドラマの細木数子のやり方をそのまま真似したら、たぶん事業は短期的に伸びても長期的には崩れます。
信頼を失った経営者の元には、優秀な人材も、いいお客さんも、長くは集まりません。
私たちが日々接している地元の経営者の方々を見ていても、長く愛されている会社の社長は、やはり人として魅力的な方ばかりです。
ただ、人として魅力的であることと、事業判断で甘くなることは別物だということです。
普段は誠実に、丁寧に、相手の立場を尊重して仕事をする。
これが基本姿勢としてあった上で、ここぞという経営判断の場面では、感傷を脇に置いて冷静に決める。
この使い分けができるかどうかが、事業を伸ばす経営者と、そうでない経営者を分けているように感じます。
「嫌われる勇気」という言葉が流行りましたが、経営者に必要なのは少し違います。
嫌われる勇気というより、誰かには嫌われていいと割り切れる勇気です。
全員に好かれようとした瞬間、事業の方向性は曖昧になり、強みは消えます。
ドラマの細木数子は極端な反面教師でもあり、教師でもある存在として、このことを思い出させてくれます。
Webと集客に置き換えて考えてみる
最後に、私たちガイネットの専門領域であるWebと集客の話に引き寄せて書いてみます。
ホームページや広告の相談を受けていて、よく感じることがあります。
それは、ターゲットを絞り切れない経営者がとても多いということです。
どんな人をお客さんにしたいですか、と聞くと、多くの方が「幅広く、いろんな方に来てほしい」と答えます。
気持ちはよくわかります。
せっかくホームページを作るなら、できるだけ多くの人に届いてほしい。
誰も拒みたくない。
ただ、これをやってしまうと、結局誰にも刺さらないホームページになります。
万人向けのメッセージは、誰の心も動かさないのです。
ここで必要になるのが、さっきの「捨てる勇気」です。
20代の若者に強く刺さるサイトを作るなら、シニア層は他社に取られる前提でやる。
地元密着で勝負するなら、観光客向けの訴求は捨てる。
高単価路線でいくなら、価格で選ぶお客さんは諦める。
この決断ができている経営者のホームページは、文章もデザインも明確で強い。
決断ができていない経営者のホームページは、どこかぼんやりしていて、印象に残りません。
細木数子のドラマを観ながら、Webサイトを作る現場でも同じことが起きているなと思いました。
おわりに
長々と書きましたが、要するに細木数子のドラマを観ながら考えていたのは、経営者の中にある優しさと、事業を伸ばすために必要な冷徹さの折り合いをどうつけるか、ということでした。
ドラマの彼女は極端すぎます。
あそこまで振り切る必要はまったくありません。
ただ、自分の中の判断が甘くなっているなと感じるとき、彼女の決断の早さを思い出すと、背筋が伸びる感覚があります。
事業を続けていく中では、誰にでも訪れる踊り場のような時期があります。
そういう時期に、ふと細木数子のような存在を思い出すのも悪くないかもしれません。
気になった方はNetflixの公式ページをご覧ください。

こういう経営者目線の話と、Web制作・集客の実務の話を、行ったり来たりしながらお届けしています。
気が向いたら、また覗きにきてもらえると嬉しいです。
私は経営者の皆さんとはこれからも良い関係といい仕事をご一緒できればと思っています。笑

株式会社ガイネット代表取締役 趣味は神社仏閣巡り 初めてホームページを作ったのは20年以上前。そこから2社ほどで修行し33歳でフリーランスに、色々あって今さら法人設立。WEBとデザインの何でも屋であり書家でありYouTuberです。