実は人前で話せるデザイナーが成功する

私が大切にしている言葉で、

体は食べたもので作られる。心は聞いた言葉でつくられる。未来は話した言葉でつくられる

というのがあります。

おもちゃ博物館の川原さんの言葉です。

本田健さんのユダヤ人大富豪の教えの中で、「自分の話す言葉に注意しなさい。ふだん、君が話していることは、君の未来をつくる。ふだん話すなにげない言葉が、君の運命をつくっていることを忘れないように」ともユダヤ人大富豪が言っています。

私が独立して今まで感じていることの一つに話せる能力のある人が成功に近づきやすいということです。

能力、技術が劣っていても話の上手い人が仕事を沢山しているということを感じてきました。

特にクライエティブな世界ではそれは顕著でした。

だから私もできるだけ話をできるようにならなければならないと思い活動していきたのです。

話すことで仕事も人生も少しずつ動き出す

人前で話すのが得意な人を見るとすごいなと思います。

言葉がすらすら出てきて、話も分かりやすい。笑いも取れる。聞いている人を引き込んでいく。

自分には無理だなと感じる人も多いかもしれません。

私も話すことは才能だと思っていた時期がありました。

話が上手な人には特別なセンスがあって、そうではない人は聞く側に回る。

そんなふうにどこかで分けて考えていました。

話すことは、目立つための技術ではありません。

自分の考えを誰かに渡すためのものです。

自分の考えを人に渡せるようになると仕事の結果が変わります。

出会う人も変わります。

選ぶ道も変わっていきます。

少し大げさに聞こえるかもしれません。

人生が変わるきっかけは案外ひとつの会話だったりします。

話さなければ、ないのと同じになる

どれだけ良い考えを持っていても頭の中にあるだけでは誰にも伝わりません。

お客様のことを真剣に考えている。

社員を大切にしたいと思っている。

この商品にはこんな背景がある。

本当はこんな会社にしていきたい。

経営者の頭の中にはたくさんの思いがあります。

それを言葉にする機会は意外と少ないものです。

毎日の仕事に追われているとゆっくり話す時間もありません。

言わなくても分かってくれるだろう、と考えてしまうこともあります。

けれど残念ながら、言わなくても分かることはそれほど多くありません。

長く一緒に働いている社員でも社長が考えていることの半分も知らないかもしれません。

お客様ならなおさらです。

伝えていない魅力は相手から見ると存在していないのと同じです。

少しもったいない話です。

会社の中には価値がある。

思いもある。

良い仕事もしている。

でも話していない。

だから知られていない。

ホームページやSNSの相談を受けているとこういう会社にたくさん出会います。

話を聞くととても面白いんです。

創業した理由。

商品が生まれた背景。

仕事で大切にしていること。

過去の失敗。

お客様に言われてうれしかった一言。

どれも会社の魅力なのに表にはほとんど出ていない。

社長に「どうして、これはホームページに書いていないんですか」と聞くとだいたい少し不思議そうな顔をされます。

「そんなこと、書いていいんですか」

いいんです。

というよりそこを知りたい人は意外と多いと思います。

人前で話すと自分の考えが見えてくる

話すことには相手に伝える以外の意味もあります。

自分の考えを自分で知ることです。

頭の中では分かっているつもりでもいざ話そうとすると言葉が出てこないことがあります。

「自分は何を伝えたいんだろう」

そんな瞬間です。

少し困ります。

これは悪いことではありません。

言葉に詰まることでまだ考えが整理されていないと気付けるからです。

人に話すためには考えを一度並べ直す必要があります。

何が大事なのか。

なぜそう思うのか。

どんな経験があったのか。

相手にどう受け取ってほしいのか。

話す準備をしているうちにぼんやりしていた考えが少しずつ形になります。

人に説明しようとして初めて気付くことがあります。

普段は当たり前だと思っていたことが言葉にしてみると会社の特徴だったりする。

何気なく続けてきた行動に自分なりの理由があったと分かる。

話すことは考えを外に出す作業です。

外に出して眺めてみると自分でも見えていなかったものが見えてきます。

頭の中だけで考えていると堂々巡りになることがあります。

そんなときは誰かに話してみる。

答えをもらわなくてもいいんです。

話している途中で自分の中から答えが出てくることもあります。

不思議なものです。

伝える人に仕事は集まりやすい

仕事の世界では良いものを作れば自然に選ばれる、と考えたくなります。

もちろん、良い仕事をすることは大切です。

ただ、良い仕事をしているだけでは、その良さが伝わらないこともあります。

知ってもらわなければ、比較の土俵にも上がれません。

たとえば、同じくらいの技術を持つ二つの会社があったとします。

一社は、自分たちの仕事についてほとんど話しません。

もう一社は、なぜこの仕事をしているのか、どんなことを大切にしているのか、お客様にどうなってほしいのかを、自分の言葉で話しています。

どちらが安心して相談しやすいでしょうか。

多くの場合後者だと思います。

話すことで人柄が伝わります。

考え方も伝わる。

仕事への姿勢も見えてきます。

価格や実績だけでは分からない部分です。

特に中小企業の仕事は最後は人で選ばれることが少なくありません。

誰に頼むか。

誰と一緒に働くか。

誰から買うか。

その判断に、話す力は大きく関わっています。

上手に話す必要はありません。

立派な言葉もいりません。

自分が実際に経験したことを、自分の言葉で話す。

それだけでも、伝わるものがあります。

むしろ、きれいにまとめすぎた言葉より少し不器用でも実感のある言葉のほうが心に残ることがあります。

話すことで、出会う人が変わる

自分の考えを話しているとそれに反応してくれる人が現れます。

「自分も同じことを考えていました」

「その話もう少し聞かせてください」

「一緒に何かできるかもしれませんね」

こうした会話から新しい仕事が始まることがあります。

逆に何も話さなければ、相手はその人が何を考えているのか分かりません。

分からないものには声をかけにくいものです。

考えを発信することは自分がどこに立っているのかを知らせることでもあります。

何に興味があるのか。

何を大切にしているのか。

どんな未来をつくりたいのか。

それが見えると近い考えを持つ人が集まってきます。

全員に好かれる必要はありません。

むしろ誰にでも当てはまる言葉は、誰の心にも深く残らないことがあります。

自分の考えを話すと合わない人も出てくるかもしれません。

それでも自分と合う人には見つけてもらいやすくなります。

仕事でも人生でも誰と出会うかは大きな問題です。

ひとつの出会いで仕事の方向が変わる。

ひとつの会話でやってみようと思える。

ひとりの言葉でそれまで選ばなかった道を選ぶ。

そんなことは本当にあります。

未来を変えるものは特別な出来事だけではありません。

何気なく交わした言葉が数年後につながっていることもあります。

人前で話すことは自分への約束になる

人前で話すと逃げにくくなります。

「これからこうしたいと思っています」

そう口にすると自分の中でも意識が変わります。

頭の中だけで考えていたときはいつでも変更できます。

やっぱりやめよう。

まだ早い。

もう少し準備してから。

理由はいくらでも見つかります。

でも誰かに話した瞬間、考えが少し現実に近づきます。

言葉にしたからには少し動いてみようと思う。

話を聞いてくれた人の顔が浮かぶ。

あのとき言ったことを形にしてみたくなる。

話すことは未来の自分に向けた約束になることがあります。

もちろん言ったことをすべて実現しなければいけないわけではありません。

考えが変わることもあります。

失敗することもある。

それでも言葉にしたことで一歩目が生まれます。

人生は考えているだけではあまり動きません。

小さくても何かを外に出したときに動き始めます。

その最初の一歩が話すことなのかもしれません。

上手に話そうとしなくてもいい

人前で話すというとスピーチやプレゼンテーションを想像する人もいるでしょう。

大勢の前に立ち、マイクを持ち、きれいに話す。

少し緊張しますね。

できれば急に振られたくはありません。

人に伝えるという意味では大きな舞台だけが人前ではありません。

お客様との打ち合わせ。

社員との会話。

朝礼。

採用面接。

食事の席。

SNSへの投稿。

動画での発信。

すべて、人に伝える場です。

一人に話すことも人前で話すことのひとつだと思います。

大切なのはうまく見せることではありません。

相手に何を持ち帰ってほしいかを考えることです。

情報なのか。

安心なのか。

勇気なのか。

会社への理解なのか。

そこが見えていれば多少言葉に詰まっても大きな問題ではありません。

流暢に話したけれど何も残らないこともあります。

一方で短い一言がずっと残ることもある。

話の価値は言葉の量では決まりません。

話し方の美しさだけでも決まりません。

その人が本当に考えてきたことがあるかどうか。

そこは意外と伝わります。

会社の未来も言葉から始まる

会社をどうしていきたいのか。

誰に喜んでもらいたいのか。

何を大切にして働くのか。

こうしたことは数字だけでは共有できません。

言葉が必要です。

社長が話す。

社員が受け取る。

社員が自分の言葉でお客様に話す。

お客様が誰かに伝える。

そうやって会社の考えは少しずつ広がっていきます。

逆に社長の頭の中にしかない考えは会社の考えにはなりません。

話して初めてみんなで持てるものになります。

会社の未来は会議室で作った立派な資料だけで決まるわけではありません。

日々、どんな言葉を使っているか。

社員に何を話しているか。

お客様に何を伝えているか。

そこに少しずつ表れてくるものです。

会社の魅力を伝えるときも同じです。

最初から文章にしようとするとなかなか進まないことがあります。

そんなときはまず話してみる。

誰かに聞いてもらう。

質問してもらう。

すると、自分では普通だと思っていた話の中から会社らしさが見つかることがあります。

言葉は、最初から完成していなくていいんです。

話しながら見つけていくものでもあります。

今日、ひとつだけ話してみる

人生を変えようと思うと大きなことをしなければいけない気がします。

でも、最初は小さな会話で十分です。

考えていることをひとつ話してみる。

やってみたいことを誰かに伝えてみる。

会社の良いところを自分の言葉で説明してみる。

いつも一緒にいる人にまだ話していない思いを話してみる。

そこから何かが始まるかもしれません。

何も起きないかもしれない。

それでも言葉にしたことで自分の考えは少し整理されます。

その小さな整理が次の行動につながります。

仕事の結果を変えるのも人生の方向を変えるのも、突然の大きな決断だけではありません。

誰かに話した一言。

誰かから返ってきた一言。

その積み重ねで未来は少しずつ変わっていきます。

話すことは自分の中にあるものを外へ渡すことです。

そして外へ渡した言葉は思いがけない形で自分に返ってくることがあります。

うまく話そうとしなくても大丈夫です。

自分が本当に思っていることをひとつ言葉にしてみる。

未来が動き始めるのは案外そんな瞬間なのかもしれません。

人が感じるは話の上手さではなく、想いを受け取った時です。

だからもう一度いいます。

うまく話す必要はないのです。

一生懸命に話してみまましょう。

不器用でも思いはきっと伝わるはずです。

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