
最近、デザインスクールを卒業した方と話す機会がありました。
ポートフォリオを見せてもらいました。
レイアウトもきれいですし色使いもしっかり考えられていました。
技術的にも未熟だしどこか個性がないけどそれは仕方ないこと。
「頑張ったんですね。」
そんな話をしているとその方が少し困ったような顔で言いました。
「卒業したのはいいんですけどここから何をしたらいいのか分からないんです。」
その一言が気になっていました。
スクールに通っている間は毎日が忙しかったと思います。
課題をこなして先生に添削してもらってポートフォリオも完成する。
卒業の日には「やっとここまで来た」と思えたはずです。
ところが翌日になると急に景色が変わります。
誰に声を掛ければいいのか分からない。
仕事はどうやって始まるのかも分からない。
急に海に放たれて漁をしてこいと言われているように。
世の中に急に放たれる。
ここで立ち止まってしまう人はきっと少なくありません。
営業経験のある人はまだいいでしょう。
しかしクリエイター志望するような人ですからそれはまれな人でしょう。
私はホームページやデザインを作る仕事をしています。
でも、デザインを作っている時間よりお客様と話している時間の方が長いかもしれません。
会社のことを聞いたり仕事を始めたきっかけを聞いたり。
気が付くとデザインの話なんてほとんどしていない日もあります。
「うちなんて特別な会社じゃないですよ。」
そんなことを言う社長さんも多いです。
でも、話を聞いていると違います。
何十年も地域で仕事を続けていたりお客様が親子二代で通っていたり。
本人にとっては当たり前でも私には魅力に見えることがたくさんあります。
デザインはその魅力を伝える仕事です。
だから私はパソコンの前に座る前に人の話を聞きます。
スクールではなかなか学べないところかもしれません。
技術は教えてもらえます。
けれど、人を見る力は自分で育てていくしかありません。
私は営業が得意ではありませんでした。
「仕事をください。」
その一言が言えなかった。
今思えばそれで良かったのかもしれません。
頼まれた仕事はとにかくどうにかする。
できれば期待を超えたい。
そのことばかり考えていました。
すると不思議なことが起こりはじめます。
「知り合いを紹介したいんだけど」と声を掛けてもらえるようになったんです。
振り返ると仕事を取りに行ったというより人とのご縁が次の仕事を運んできてくれました。
だから、これからクリエイターを目指す人にも伝えたいことがあります。
最初は仕事を追いかけなくてもいい。
目の前にいる人を喜ばせることを考えてみてください。
お金にならないこともあるでしょう。
時間ばかり掛かる日もあると思います。
それでもその経験はなくなりません。
「ありがとう。」
その一言をもらえる仕事は自分の中にちゃんと残ります。
信頼はそうやって増えていくものなんだと思っています。
最近はAIの話題も増えました。
「これからデザイナーは必要ですか。」
そんな質問も受けます。
仕事の形は変わると思っています。
ただ、人の気持ちを理解することまでAIに任せられるとは思っていません。
社長がどんな思いで会社を続けてきたのか。
お客様がなぜその会社を選ぶのか。
そこを感じ取れる人はこれからも必要とされるはずです。
最後に一つだけ。
デザインスクールを卒業したからといって勉強が終わるわけではありません。
ここから先の方が長い。
私も毎日のように新しいことに出会います。
AIも触ります。
他の会社のホームページを見て、「この見せ方はうまいな」と思う日もあります。
お客様との会話で考え方が変わることもあります。
自分の仕事に満足したこともありません。
「あのとき違う伝え方があったかもしれない。」
そんなことを考える日もあります。
それでも、また次の仕事に向かいます。
クリエイターってきっとそういう仕事なんです。
焦る必要はありません。
ただ目の前の人に喜んでもらうこと怠らない。
感性を磨き続けなさい。
学び続けなさい。
自分を高めることにお金を使いなさい。
そして新しいことを面白がる繰り返しの先に自分らしい姿が少しずつ見えてくるはずです。
私もまだその途中です。
夢を叶えるゾウの中でガネーシャが言っていました。
「仕事はカブトムシ探しのようにしろ」

株式会社ガイネット代表取締役 趣味は神社仏閣巡り 初めてホームページを作ったのは20年以上前。そこから2社ほどで修行し33歳でフリーランスに、色々あって今さら法人設立。WEBとデザインの何でも屋であり書家でありYouTuberです。