
ゴールデンウィークの旭川は、ようやく桜が咲き始める季節ですが今年は少し早いですかね。
市内はもう散りかけている木も見られます。
街を歩けば花見客でにぎわい、どこか気持ちがゆるむ感じでしょうか。
ゴールデンウィークですしね。
そんな連休中でも手が伸びるのがスマートフォン。
最近、Threadsをよく見るようになりました。
自分が投稿したり、いいねやリポストで反応した内容に関連する投稿が、タイムラインに自然と流れてくる。
アルゴリズムが自分の興味をじわじわ学習していくあの感じが、なかなか面白い。
気づけばデザインや制作まわりの投稿が増えてきて、連休中もついスクロールしてしまいます。
そんなタイムラインに、ちょっと気になる投稿がいくつか流れてきました。
デザインの料金をめぐる、なかなかリアルなやり取りです。
SNSで起きた「デザイン料金」をめぐる2つの炎上
①「1万円でチラシデザインします」
Threadsに投稿されたある案件。「1万円でチラシをデザインします」という内容で、見本として架空の鰻屋のチラシ画像が添付されていました。
デザイン業界の人間がそれを見て、批判が相次ぎました。
なぜか。
見本が誰の目にも明らかな「AI生成デザイン」だったからです。
条件は「打ち合わせ無し」「修正無し」
そりゃそうだ。
②「3,500円の名刺に払えない」
同じ時期、別のデザイナーが「名刺を3,500円でデザインしたのに、発注者に『このクオリティでそんな金額は払えない』と言われた」と投稿。
これに対して発注者側からも反論が出て、双方の言い分がSNS上で広がりました。
アップロードされた画像を見る限りあまりにもお粗末なデザイン。
基本さえなっていない。
LINEのやりとりも公開されていたが正直どっちもどっちのやり取り。
この2つの出来事には、日本のデザイン市場が抱える根深い問題が凝縮されています。
そして経営者の立場から見ると、どちらの側にも冷静に見るべき点があるのです。
AIデザインが「売れない」理由
AIでチラシを作ること自体は、技術として否定しません。
問題は、そのAI出力をそのまま使うことにあります。
1. AIの出力はクリエイティブの「平均値」でしかない
AIは大量の既存デザインを学習して生成します。
つまり出てくるものは、世の中にあるデザインの平均的な集合体です。
「悪くはない。でも何も刺さらない」。これがAI生成デザインの本質です。
あなたのお店の強みも、お客様の顔も、地域性も、競合との違いも、AIは知りません。
2. 情報が詰め込まれすぎている
AI生成のチラシに共通する失敗が、情報過多です。
「せっかくだからすべて伝えよう」という方向に出力が振れやすく、メッセージが散漫になります。
チラシで伝えることは、本来1つか2つで十分です。
「このランチが今週だけ○○円」。それだけで足りる。
3. 「誰に、何を伝えたいか」が見えない
デザインとは、情報の取捨選択と優先順位付けです。
何を大きく見せて、何を削るか。どの言葉を選ぶか。どんな写真を使うか。
AIはこの判断を「あなたのお店のために」行うことができません。
出てくるのは、どこのお店にも当てはまりそうな、どこのお店にも刺さらないデザインです。
4. 修正・対応が発生したとき、どうするのか
チラシを刷った後に「営業時間が変わった」「価格が改定された」といったことは、現場ではよくあることです。
1万円でAIデザインを売っている出品者が、その後の修正対応に責任を持てるか。
デザインは「一発作って終わり」ではありません。ビジネスに寄り添い続ける作業です。
「安ければいい」の発注側にも問題がある
一方、「3,500円の名刺に払えない」という発注者側の言い分も、経営者として冷静に考える必要があります。
デザインを「作業」と見ているか、「投資」と見ているか
名刺は、あなたの会社の顔です。
初対面の相手が手に取る、最初の印刷物。
そこに込められたデザインの質は、「信頼できる会社かどうか」の第一印象を左右します。
3,500円を「高い」と感じるなら、名刺をどういうものだと思っているか、一度立ち止まって考えてみてください。
「安くて良いもの」は存在しない。では何に対してお金を払うのか
デザイン料金には、制作時間だけでなく、ヒアリング・提案・修正対応・納品管理が含まれます。
さらにいえば、そのデザイナーが積み上げてきた経験・センス・業界知識への対価でもあります。
「安く作ってもらった名刺」と「きちんと作られた名刺」を並べたとき、どちらを配りたいですか。
では、「安いデザイン」と「AIデザイン」から得られるものは何か
正直に言えば、ローリターンです。
安いデザイン・AIデザインは確かに初期コストが低い。
しかし、差別化はほぼできず、修正対応は不安定で、集客や売上への貢献も期待しにくい。
そして何より、ブランドとして積み上がるものが何もありません。
きちんとしたデザイナーへの発注は初期コストがかかります。
ただし、競合との差別化が生まれ、責任ある修正対応があり、設計次第で集客・売上に直結し、会社のブランドが少しずつ積み上がっていきます。
格安デザインを10回繰り返しても、ブランドは育ちません。
むしろ、統一感のない販促物が積み重なることで、「安っぽい会社」という印象を市場に与え続けるリスクがあります。
きちんとしたデザイナーに発注する本当の意味
デザイナーはデザインを「作る人」ではなく、課題を視覚的に解決する人です。
「このチラシで何を達成したいのか」「誰に届けたいのか」「競合と何が違うのか」「どんな行動を起こしてほしいのか」。
こうした問いをヒアリングし、デザインという手段で答えを出すのが、プロのデザイナーの仕事です。
1万円のAIチラシには、このプロセスが存在しません。
「費用対効果」で考えてほしい
仮に5万円のチラシデザインが、月に3件の新規来店を生み出したとします。
客単価が5,000円なら、1ヶ月で1万5,000円。3〜4ヶ月で元が取れます。
一方、1万円の「なんとなくチラシ」を配り続けても、反応が取れなければ印刷代と配布費用だけが消えていきます。
デザイン費用は「コスト」ではなく「先行投資」です。
まとめ:デザインに何を求めるべきか
今回のSNSの話題を通じて見えてくるのは、デザインの価値がまだ正しく理解されていない現状です。
AIデザインは「平均値」であり、あなたのお店を際立たせる力がありません。
格安デザインは短期的なコスト削減に見えて、長期的にはブランドを傷つけるリスクがあります。
発注者側も「安く叩く」ことへの認識を改める必要があります。
そしてデザインとは、集客・売上・ブランド構築への投資です。
「デザインにお金を使う余裕がない」と感じているなら、逆説的ですがだからこそ費用対効果の高いデザインに投資すべきタイミングかもしれません。
安さを追いかけるより、「このデザインで何人のお客さんが来てくれるか」を考えてください。
その視点を持てたとき、デザインへの向き合い方が変わります。
次にチラシや名刺を作るとき、ぜひ一度考えてみてください。
そのデザインはあなたのお店の魅力を、本当に伝えられているか。
そのデザインは、お客さんの心を動かせているかを。

株式会社ガイネット代表取締役 趣味は神社仏閣巡り 初めてホームページを作ったのは20年以上前。そこから2社ほどで修行し33歳でフリーランスに、色々あって今さら法人設立。WEBとデザインの何でも屋であり書家でありYouTuberです。